トップページ > 看護介護全国ニュース(BERITA PERAWATAN) > 2014年9月 第165号

ヘッドライン ... このニュース記事は、EPA(経済連携協定)及び、外国人看護師・介護福祉士に関する全国ニュースをダイジェストでまとめたものです。

迎える 「外国人活用の足元」(4)福祉職 技能磨く場の整備を(2014/8/29 神奈川新聞)

休みが明けてアルバイト先の高齢者グループホームに出勤すると、ある入所者がいなくなっていた。「病院で亡くなった」と聞かされた。

心を開いてお年寄りと接する仕事は楽しい。でも、最後まで十分なことをしてあげられただろうか−。韓国出身の韓劭熹(ハンソヒ)さん(29)の胸に残った思いが、「もっと日本で福祉の勉強をしたい」との意欲をかき立てた。留学先の県立保健福祉大(横須賀市)を今春に卒業する直前、介護福祉士の国家資格も取得した。

だが現行制度では、永住資格者のほか、経済連携協定(EPA)締結国の出身者を除き、介護分野での外国人就労は認められていない。在学中のアルバイトは、あくまで一定の時間内で留学生に認められた資格外活動だった。

将来は母国で高齢者福祉に関わりたいとの目標を抱く韓さんだが、「経験を生かすため、日本の介護現場で働きたい」という希望をかなえるためには、現状では永住資格を取るしかない。

県は、地域限定で規制を緩和する「国家戦略特区」に県内全域が指定されたことを受け、介護分野で外国人材の先行受け入れの検討を始めている。

もっとも、早期に外国人就労の道を大きく開くことには慎重な声も消えない。施設利用者の年齢や要介護度が高くなっている現場では、認知症や終末期への対応などで仕事の幅も広がっており、「十分な日本語でのコミュニケーション能力と介護の知識、技術、倫理が必要」(日本介護福祉士会)との意識が強い。

県立保健福祉大の臼井正樹教授は、介護分野への外国人材の受け入れについて「少なからぬ留学生が来日し、国家資格も取得しているのに、就労ができない現状はおかしい。日本の介護を学び、ノウハウを磨く環境を整えた上で、専門家として日本人と同じ土俵に乗ってもらうべきだ」と指摘する。

その半面、多彩な経歴や慣習を備えた人材への期待も、現場に生まれている。

特別養護老人ホーム「クロスハート栄・横浜」(横浜市栄区)ではスタッフの1割が外国籍。「お世話をすれば笑顔を返してくれる。自分にとってはそれも報酬の一つ。かつて何時間も向き合っていたコンピューターとは違う」。南米ベネズエラ出身のモイゼス・マルティネスさん(57)が職場でよく口にする言葉だ。

もと電話通信の技術者。妻の出身国の日本で永住資格を取得し、介護の現場で働くようになった。母国には今も親族が多いだけに、「いずれ彼らの介護が必要になる。日本の経験が役立つ」と話す。

同施設を運営する社会福祉法人「伸こう福祉会」は、マルティネスさんだけでなく外国人材を積極的に受け入れている。「中国出身者は漢方の知識、タイはマッサージ、フィリピンは高齢者への敬意…。こちらがはっとするような介護を見せてくれる」

彼らの業務に感銘を受けている足立聖子理事長は、「世界に誇れる『日本式の介護』を確立するためにも、外国人材から学ぶべきものは多い」と言い切る。

外国人の福祉就労 現在は経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補生をインドネシア、フィリピン、ベトナムから受け入れているが、日本の国家試験に合格しないと国内での就労ができない。政府は成長戦略の一環として、国家資格を取得した留学生に国内就労ができるよう制度を見直す方針。外国人技能実習制度の活用も目指す。

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イスラム研修生 宗教の壁 髪隠すスカーフだめ 祈りの時間取れず(2014/8/16 東京新聞)

経済連携協定(EPA)に基づいて来日しているイスラム教のインドネシア人の介護福祉士と看護師の候補者が、研修先の福祉施設や病院で宗教上の壁にぶつかっている。利用者が戸惑うことを理由に髪を隠すスカーフを取るよう求められたり、お祈りの時間を十分に取れなかったりするケースが続出。候補者と施設を仲介する機関も有効な手だてを打てず、毎年のように同じ問題が繰り返されている。

今年二月まで横浜市の老人ホームで研修を受けていた二十代のインドネシア人女性は「ジルバブ」と呼ばれるスカーフを仕事中は外すよう求められた。イスラムの女性は、家族以外の男性の前では髪を隠すのが一般的。抵抗はあったが「利用者が怖がる」「衛生的でない」と言われ、やむを得ず外していた。

「どの施設も同じと思っていたし、従うしかなかった」。しかし別の施設で研修する友人に聞くと、着用が認められているという。精神的に追い詰められ、ある日、無断でジルバブ着用のまま出勤。すぐに職場の上司に見つかり、女性によると、その場で自宅待機を命じられた。

結局、女性は施設に復帰することができず、着用が認められている西日本の施設に特例措置で移った。「ジルバブをしないで人前に出るのは、日本人が下着姿で外出するようなもの」と女性。「本当に恥ずかしかった」と振り返る。

現在、日本がEPAを結ぶのはほかにフィリピンとベトナム。昨年度までに候補者約千九百人を受け入れたが、文化や職業意識の違いから施設とのトラブルが後を絶たない。イスラム教徒の多いインドネシアは宗教上の問題が目立っているという。

EPA候補者の支援を続ける日本語講師の平井辰也さん(50)=名古屋市=は「問題はジルバブだけではない」と指摘。本来は細かく時間が決まっているお祈りも、短い休憩で慌ただしく終えなければならない。食べられるものも限られ、「ストレスで帰国する人もいる」という。

戸惑いは施設側にも広がる。女性が働いていた横浜市の施設の担当者は「夏にジルバブをかぶったまま仕事をすれば脱水を起こす恐れもあるし、イスラム教徒に慣れていない利用者が不安に思うかもしれない。女性にも了解してもらっているはずだ」と着用を認めない理由を説明。「お祈りのために彼女たちだけに時間を取るのも不公平だ」と訴える。

候補者の日本での受け入れ先は、厚生労働省の外郭団体の国際厚生事業団(東京都)が仲介している。だが「宗教的な配慮に積極的な施設も多く、適切な仲介をすればトラブルは減るはずなのに、ミスマッチは一向になくならない」(平井さん)のが現状だ。事業団は「差別につながる恐れがあるため、マッチングの際に宗教は問えない」と説明するが、平井さんは「国が責任を持って対応すべきだ」と求めている。

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ベトナム人看護師候補「夢、現実に」−研修終えた138人、15日から現場へ(2014/8/14 医療介護CBニュース)

「わたしの夢は、外国語を使って看護師の仕事をすることです。その夢は今、現実になりつつあります」-。ベトナム人看護師候補者の女性、ブイ・ティ・タインさんはこのように語り、目標に一歩近づいた喜びを日本語で表現した。日越経済連携協定(EPA)に基づく初めての看護師・介護福祉士候補者計138人は14日、日本での約2か月半の語学研修を終え、千葉市で行われた閉講式に出席した。候補者らはあすから、全国の病院や介護施設で就労を開始し、日本の国家試験の合格を目指す。

EPAに基づく受け入れは、二国間の経済活動の連携強化の観点から、外国人の就労が認められていない分野で特例的に行うもの。看護師・介護福祉士候補者の受け入れは、インドネシアからは2008年度、フィリピンからは09年度にそれぞれ開始し、毎年行ってきたが、ベトナムからの受け入れは今年度が初めてだ。第1陣として6月に入国したのは、看護師候補者21人と介護福祉士候補者117人。平均年齢は約24歳。

ベトナムからの受け入れ方法は、インドネシアやフィリピンと異なる。訪日前の日本語研修の期間が2倍の1年間に拡大したほか、訪日の要件として日本語能力試験で一定レベルの認定を求めている。インドネシアからの受け入れでも、今年度から日本語能力試験が要件化されたが、要求する日本語レベルはベトナムの方が高い。在留期間は原則、看護師候補者は3年、介護福祉士候補者は4年で、国家試験に不合格なら帰国する。ただし、帰国後も再受験目的の来日は可能だ。

14日の閉講式では、看護・介護の専門的な日本語や知識について研修を行ったアークアカデミーの鈴木紳郎代表取締役が、「受け入れ先の施設によっては、『方言』といって言葉が少し違うところもありますが慣れてください」と述べ、候補者らの笑いを誘った。また、若いころに一緒に勉強した友人は一生の仲間になるとし、「あすから各地に分散しますが、連絡を取って励まし合ってください。こういう時、日本語では『頑張れ』と言います」と激励すると、候補者らは「はい」と口々に答えた。

看護師候補者を代表してあいさつしたブイさんは、「買い物で道に迷った時、知らない日本人が親切に助けてくれました。小さいことですが一生の思い出です」と笑顔を見せた。また、研修中に学んだ日本のチーム医療について、「医師や看護師が連携して患者のケアをするのは効率的だと思いました」と述べた。

介護福祉士を代表してあいさつした男性、ファム・ディン・トイさんは、「自分たちにできることはまだ少ないですが、努力を忘れず、日本の皆さんにベトナム人候補者を受け入れてよかったと言ってもらえるよう頑張ります」と力を込めた。

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【社説】外国人の介護人材 地域への定着も課題だ(2014/7/31 神奈川新聞)

3人に1人が65歳以上という人口構成が実現する2025年以降に、100万人が必要とされる介護の担い手をどう確保すればよいのか−。少子高齢化の進展に伴い、外国人材の活用をめぐる議論が活発になっている。

政府が6月に取りまとめた改訂版成長戦略のなかに、介護分野の外国人材活用が盛り込まれた。国家資格を取得した留学生の国内就労を支援するため、在留資格拡充などの制度づくりを、年内をメドに進めることなどが柱だ。

自治体の危機感は強い。人口減に加え、地方から都市部への人口流入が進めば都市部の高齢化率が急に跳ね上がり、担い手不足が一気に深刻化しかねないからだ。

全国知事会は7月の会議で取りまとめた提言で「このままでは介護崩壊が現実のものとなる」と訴えた。その上で、外国人材に関しては「短期的な労働力確保ではなく、受け入れから育成、継続的な就業まで一貫した制度」の構築を求めている。

日本は既にインドネシアなどと経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士の候補生らを受け入れてきた。県内の現場からは「お年寄りとの接し方に新たな観点を持ち込んでくれており、日本人にも勉強になっている」との評価がある。

ただ高齢者福祉の現場は、外国人材の活用をめぐり、必ずしも意見の一致を見ているわけではない。介護では高い対人コミュニケーション力が要求されるとして、日本語能力に不安を残す人材にも門戸を開くことには慎重な考え方が根強い。

介護職の処遇改善で日本人の潜在的な担い手を掘り起こすことも、もとより重要ではある。それでも将来の人口構造が変わらない限り、外国人材の長期的な活用を真剣に検討することは、避けられない段階に入ったのではないか。

成長戦略では、外国人材の活用を「移民政策と誤解されないようにする」と強調している。だが高齢者介護は食事、排せつ、入浴の「三大介護」をこなせればよい、という状況ではない。優秀な介護の人材を日本で育む、とのメッセージにもなる対策が急務だ。

在宅療養の促進が続けば、外国人材には福祉施設だけではなく、地域に定着してもらうことも必要だ。そのための心構えも、地域社会に問われることになる。

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看護介護全国ニュース(BERITA PERAWATAN)2017年 1月〜11月号

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