トップページ > 看護介護全国ニュース(BERITA PERAWATAN) > 2010年8月 第116号

ヘッドライン ... このニュース記事は、EPA(経済連携協定)及び、外国人看護師・介護福祉士に関する全国ニュースをダイジェストでまとめたものです。

EPA看護師の専門用語への対応で検討チーム―厚労省(2010/06/24キャリアブレイン)

日本とのEPA(経済連携協定)に基づいて来日しているインドネシア人、フィリピン人の看護師候補者の障害とされる国家試験の専門用語への対応を協議するため、厚生労働省は6月23日、「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム」の初会合を開き、来年2月の国家試験に向けた議論をスタートさせた。8月上旬までの5回の会合で一定の結論をまとめる方針。看護師候補者416人のうち、2008年夏に来日したインドネシア人(第一陣)の104人は、滞在期間が延長されない限り、来年2月の試験が最後になるため、病院団体などが厚労省に意見書を提出している。

政府は6月18日、試験に使用されている難解な用語の取り扱いについて、「試験委員会において検討を行い、試験問題作成に反映」させ、今年度中に措置を講じるとする対処方針を閣議決定しており、検討チームはこの決定や長妻昭厚労相の国会答弁などを受けて設置された。検討課題は、▽平易な日本語に置き換えても現場が混乱しないと考えられる用語への対応▽医学・看護専門用語への対応―など。意思決定の中立性などから、会合はすべて非公開となっている。

試験委員会では、厚労相の任命を受けた委員が1年がかりで問題を作成しているが、厚労省医政局看護課では、「来年2月の試験に何らかの形で反映させたい」としている。問題文は全受験者の共通とし、不公平感が生じないようにするという。

検討チームの委員は次の通り(敬称略)。

栗本澄子(愛知県立総合看護専門学校教務課長)▽澤充(日大医学部付属板橋病院長)▽高岸壽美(日本赤十字社和歌山赤十字看護専門学校副学校長)▽竹下夏美(京都橘大看護学部准教授)▽田中牧郎(人間文化研究機構国立国語研究所・言語資源研究系准教授)▽中山洋子(福島県立医科大看護学部教授)▽西口光一(阪大国際教育交流センター教授)▽平野裕子(九大大学院医学研究院保健学部門准教授)▽林正健二(山梨県立大看護学部教授)

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開国漂流:追跡・外国人ケア人材問題/上(その1) 合格率1.2%の衝撃(2010/07/08毎日新聞)

「1・2%ショック」が東京・霞が関に影を落とす。経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア人、フィリピン人254人が今春、看護師国家試験を受験した。合格者はわずか3人だった。近隣国との関係強化の柱として「開国」の在り方が問われる日本。長期的な国家ビジョンを描けず漂流する政官、翻弄(ほんろう)される医療・福祉の現場を追う。

6月18日、参院選を控え、駆け込み的に政府の「新成長戦略」が閣議決定された。キャッチコピーは「『元気な日本』復活のシナリオ」。短い文言が官僚の間で話題になった。「11年度に実施すべき事項 看護師・介護福祉士試験の在り方の見直し 母国語・英語での試験実施等の検討を含む」。政府は国家試験を日本語以外で実施する可能性を初めて示した。「褥瘡(じょくそう)」(床ずれ)……。試験問題は日本人でさえ、難解な表現が少なくない。日本人は9割が受かるが、自国では看護師資格を持つ外国人受験者にとって「日本語の壁」は高い。「次の試験も数百人単位で落ちて帰国したら外交問題になる」。EPAにかかわってきた官僚は言う。試験改革には「1・2%ショック」が存在した。そして曲折の始まりは4年前にさかのぼる。

「話が違うぞ」「こんなに増やして大丈夫なのか」。06年9月6日夜。霞が関の官庁でEPA担当者たちの怒声が飛び交った。小泉純一郎首相(当時)がアジア欧州会議首脳会議に向かう前日のこと。小泉首相はヘルシンキでフィリピンのアロヨ大統領(同)との首脳会談を予定。その目玉が日比のEPA署名だった。日本は日本製品の輸出拡大につながる関税撤廃を進める見返りに、フィリピン人看護師・介護福祉士候補者受け入れに同意した。関係省庁間で調整を繰り返し、受け入れ枠は「(年間)100人レベル」で内定していたが、首相出発前夜に突然ひっくり返され、ひとケタ多い「(2年間で)1000人」となった。関係省庁には「官邸の意向」とだけ説明された。フィリピンの希望は「1万人レベル」だったとも指摘される。医療・福祉行政に影響力を持つとされる中村博彦参院議員(自民)は証言する。「アロヨ大統領側の感触として『1000人なら話がつくが、それ以下では無理だ』と官邸に伝えていた」ある厚生労働省関係者はこう感じ取っていた。「100人なら国家試験に不合格でも目立たないが、母数が1000人なら不合格数は巨大。描いた制度設計では追いつかない事態になった」。それが今年3月の国家試験の結果で現実になった。

「日本語以外の試験の導入方針で『国を開く』というメッセージを示した」。国家戦略室幹部は自賛する。だが各省は今も違う方向を向く。厚労省幹部は「母国語・英語の試験で合格したらどうなるんだ」と反対だ。命を預かる現場で意思疎通を欠けば事故につながるとの理由だ。「介護職に就きたいと考える若者が少ない中、早晩、外国人に頼らざるをえなくなるだろう」(神奈川県東部の特養施設長)。30年には人口の3分の1が65歳以上となる日本。ケア人材をどう確保するのか。関係省庁が共に描く医療・介護の将来像は見えない。

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開国漂流:追跡・外国人ケア人材問題/上(その2止) 合格率アップへ攻防(2010/07/08毎日新聞)

◇「母国語で試験」政治主導に省庁譲歩
経済連携協定(EPA)に基づき入国した外国人看護師・介護福祉士候補者をどう救済し、「閉じた国」という負のイメージをどう回避するか。政府の課題は国家試験の合格率アップに他ならない。それを導くのが「新成長戦略」。6月18日の閣議決定直前まで展開された担当閣僚・省庁間の攻防。関係者らの証言で明らかになった。

6月15日、首相官邸で開かれた行政刷新会議。新成長戦略と連動して規制緩和の観点から看護師・介護福祉士の国家試験の見直しを行っていた。

用語の置き換えや漢字へのルビ記載など検討し試験問題作成に反映」(10年度中措置)▽「受験機会拡大を今後検討」(逐次検討)−−の2点が報告書に明記された。日本人の受験者とまったく同じ条件で、漢字で表記された国家試験の設問は外国人受験者にはやっかいだ。「日本語の壁が最大の課題」との認識は各省とも共有したが、その壁を規制緩和という制度見直しで越えるには迫力不足な内容だった。

席上、政権ナンバー2の仙谷由人官房長官は報告書に注文をつけた。「もっと踏み込めないか」。国家試験の合格基準を下げることを懸念する「開国」慎重派、厚生労働省を意識してのことだった。

仙谷氏は鳩山前政権時代、国家戦略担当相として「官を開き、国を開き、未来を開く」ことを目指す「新成長戦略」作成の司令塔を務めてきた。国家戦略担当相時代の4月19日には神奈川県海老名市の高齢者施設を訪問。EPAで来日したインドネシア人介護福祉士候補者と懇談した場で「入所者とのコミュニケーションがしっかりしていれば全然問題ない」と感想を述べた。日本語で試験を受けて合格しないと受け入れないというのは世界の標準なのか。そんな思いがにじみ出た発言だった。

同月末に開かれた国家戦略室主催のヒアリング。「専門試験は英語か母国語で行い、別途、日本語のコミュニケーション能力を問うべきだ」。仙谷長官の意向をくんだとみられる提案が、津村啓介・内閣府政務官から、国家試験を所管する厚労省の足立信也政務官に投げかけられた。「母国語・英語での試験検討」が再浮上したのは仙谷長官の行政刷新会議での発言翌日の6月16日、新成長戦略閣議決定に向けた国家戦略室、経済産業省、外務省、厚労省の政務官による議論だった。

「母国で取得している資格を日本でも適用できるよう相互認証制度を導入してはどうか」。母国語・英語での試験検討よりも、さらに踏み込んだ提案も国家戦略室からは提案され、議論は17日未明にまでずれこんだ。

結局「母国語・英語での試験実施等の検討を含む」(11年度まで)▽「受験機会の拡大検討」(11年度)との文言に収れんした。厚労省にとって「日本語での試験」は譲れぬ最後の一線でもあったが、省庁の縦割り排除と政治主導を唱える仙谷長官のもと、譲歩を強いられた。

◇候補者あっせん、1人15万円 天下り法人一手に外国人ケア人材を受け入れる医療機関・福祉施設は、候補者1人あたり仲介手数料など15万円以上を厚労省の外郭団体「国際厚生事業団」に支払う。事業団は理事長の坂本龍彦・元厚生次官はじめ厚労OB3人を理事に迎える天下り法人だ。「不当な手数料を取るブローカーを介在させないため」(厚労省)との理由で、候補者あっせん業務を一手に引き受けるが、手数料負担は受け入れ希望施設数が伸び悩む要因の一つとなっている。

事業団が毎日新聞に示した各手数料の設定根拠によると、雇用契約書翻訳料は1100万円。契約書4枚のひな型は統一され、記入欄は半分以下だ。候補者と施設の希望をマッチング(合致)させるコンピューターソフトは1200万円を見込んだが、あるIT業者は「あり得ない額ではないが高い」とみる。

一方、初年度(08年度)の支出内訳は、見積もりと大きく違った。翻訳料などは低く抑えられ、代わりに3倍以上に膨らんだのが人件費。計約4500万円で全事業費の半分以上を占めた。

担当者は「事業が急に始まり、短期決戦で人を導入したため」と説明し、職員の給与を業務に携わった割合で計算するなどして計上したという。「翌年度からは改善した」とするが、手数料値下げには「相談業務など新たな経費がかかり、難しい」と消極的だ。

受け入れ施設は経済産業省や外務省が行う日本語研修費用の一部として1人あたり約36万円も負担する。ある外務官僚は「受益者負担が原則だが、実際には施設がそこまでして受け入れる必要はあるのかという部分もある」と漏らす。

外国人ケア人材の受け入れは誰が事業の受益者か見えにくいが、事業団は候補者の導入研修など国の補助事業も請け負う。21人の職員を抱える現在、10年度の予算規模は4・5億円。縮小傾向にあったEPA開始前の07年度(予算規模2・5億円、職員数11人)に比べ盛り返した。「当時、予算縮小に危機感を抱いた天下り幹部が新たな事業を探していた」。ある事業団関係者は明かす。

また、施設の負担以外に、多額の国費も投入されている。経産・外務省の日本語研修事業では昨年度、約13億円を執行。業務委託先は公募だが、経産省所管の財団法人が毎年受注した。ここでも多くの予算が天下り法人に流れた。

◇受け入れあっせん業務に関する各手数料の設定根拠
◇求人申込手数料(1施設あたり3万1500円)
・翻訳料=330万円
・システム経費=180万円(ウェブ申し込み)
・審査、人件費=260万円
◇あっせん手数料(1人あたり13万8000円)
・面接費用=2300万円
・合同説明会=550万円
・求職者情報の翻訳=250万円
・契約書の翻訳=1100万円
・システムマッチングソフト=1200万円
・出国オリエンテーション=70万円
・人件費=570万円
・管理費(コピー代、家賃、パソコンリース代、光熱費)=860万円
◇滞在管理費(1人あたり年間2万1000円)
・相談対応=370万円
・帰国費用=380万円
・データベース構築費用=270万円
・雑費=30、40万円
※インドネシア人500人を250施設で受け入れると想定し積算。これを人数や施設数で割り、手数料を算出した

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開国漂流:追跡・外国人ケア人材問題/中 求人減少、遠のく「夢」(2010/07/09毎日新聞)

◇金融危機で需給一変
心筋梗塞(こうそく)で倒れた男性患者の足先を触り、体温を確かめる。「苦しくないですか」。栃木県足利市の足利赤十字病院救命救急センター。フィリピン人女性看護師ラリン・エバー・ガメドさん(34)は日本語でたずね患者の顔をのぞき込む。

フィリピンで8年、サウジアラビアで5年の看護師歴を持つ。日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づき昨春、息子2人を残し来日した。今春の看護師国家試験を受験した外国人候補者254人の中で合格した3人の1人だ。

日本語は全くできなかった。だが、小松本悟院長は「知識や技術は十分ある」と確信。午前中は看護助手として働き、午後は日本人の同僚10人から医療用語や読み取りを教わった。寮でも未明まで机に向かった。本人の努力と周囲の支援が結実した。「病院のためにも、さらに上の認定看護師になりたい」。エバーさんの次の目標だ。

「認知症の患者が僕だけを覚えてくれている。僕だけに世話をしてもらいたがる」。インドネシア人男性看護師、ヤレド・フェブリアン・フェルナンデスさん(26)は少し自慢げだ。同じく国家試験に合格したリア・アグスティナさん(26)とともに新潟県三条市の三之町病院に勤める。方言に戸惑いながらも、着実に看護師キャリアを重ねる。

インドネシア西ジャワ州チルボンにあるチルボン看護学校。熱心に日本語の教科書を音読するオシンさん(21)の姿があった。介護福祉士候補として来年の日本行きを目指す。

「困難に負けぬ人になってほしい」。80年代に同国でも放映され、人気を博したNHKドラマの主人公から祖父が命名した。ひらがな、カタカナは読めるが、漢字はごくわずか。「知識を日本で生かしたい。給料は二の次」と話すが、地元で看護師の月給は80万ルピア(約8000円)ほど。日本の待遇は魅力的だ。同校の日本語教師、高橋彩子さんは「日本行きは『ジャパニーズドリーム』そのもの」と語る。

夢を実現させた人、夢を抱く人々とともに現実を知る人もいる。ピピット・サフィトリさん(37)は4月、ジャカルタに戻った。「日本にいても看護技術を伸ばせないと思った」と振り返る。08年8月、EPA第1陣として日本へ。「お年寄りのおむつとシーツ交換ばかりだった」と話す。日本滞在を途中であきらめた候補者は両国で31人いる。

厚生労働省は第1陣インドネシア人介護福祉士候補者を受け入れた施設長を対象にアンケートを実施し3月に結果発表した。「『出稼ぎ目的』の雰囲気で国家試験合格への意欲が感じられない」。37施設のうち4施設がそう回答した。

08年秋の金融危機を境にケア人材の需給は一変し国内だけで確保しやすくなった。一方、候補者の国家試験への対応は受け入れ側へ丸投げに近い。経済的負担ほか日本人職員を候補者研修に回さざるを得ず「二度と採用したくない」と答える病院・施設もある。5月に来日したフィリピンの第2陣は第1陣に比べ受け入れ希望が半減。年内に来日するインドネシア第3陣は昨年比3分の1に減った。

日本側の求人が減り、訪日へのハードルは上がる。チルボン看護学校日本語科で今年応募したオシンさんの仲間12人中、候補者に決まったのは1人だけ。オシンさんの夢もまた遠のく。

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質問なるほドリ:外国人の看護師候補者ら、どうして受け入れたの? (2010/07/09毎日新聞)

Q どうしてインドネシアとフィリピン人の看護師と介護福祉士の候補者を受け入れたの?

A 経済連携協定(EPA)は、ヒト・モノ・カネの流れを自由化し、2国間の経済関係を強化するために結ぶものですが、その際、相手国から強い要請があったためです。日本は国内の労働市場に影響のない範囲で受け入れることにしました。人手不足だからではなく、あくまでも「特例的」な受け入れという位置づけです。

Q 協定はいつ発効したの?

A インドネシアは08年7月、フィリピンは同年12月で、看護師・介護福祉士の受け入れのほか、貿易上の関税撤廃なども盛り込まれています。

Q だれでも日本に来られるわけではないんでしょ?

A 自国で看護師資格を取得していたり、介護士の認定を受けていることが条件です。看護師候補者になる場合は、2〜3年の実務経験も問われます。フィリピンについては就労コースとは別に4年制大学卒業者を対象に、日本の介護福祉士養成学校に入学して資格を取得するコースがあります。

Q これまで来日した候補者はどれぐらいいるの?

A 2国とも2年間で「最大1000人」(看護師400人、介護福祉士600人)という枠組みで受け入れることにしました。08年8月から今年5月までに2国とも第2陣まで来日していますが、計998人。枠組みの半分程度にとどまっています。今夏にインドネシア人候補者の第3陣が来日すると約1100人を超えます。

Q 日本語研修はどこで受けるの?

A インドネシアは外務省、フィリピンは経済産業省が担当しており、研修を行う事業者をそれぞれ毎年公募して決めます。インドネシアは「現地で2カ月、日本で4カ月」と研修場所が2カ所になるのに対し、フィリピンは「日本で6カ月間」と日本だけで行います。

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「日本で看護師」断念続々(2010/07/9読売新聞)

◇比などへ帰国33人 漢字や用語 難解な試験
EPA(経済連携協定)に基づきインドネシアとフィリピンから来日した外国人看護師・介護福祉士候補者の中途帰国が相次ぎ、受け入れが始まった2008年以降、計33人(今年7月1日現在)に上っていることがわかった。日本の国家試験突破の難しさなどから、将来の展望が見いだせずに就労をあきらめた人が少なくないと見られる。

候補者は、これまで998人が来日。国内の施設で働きながら勉強し、3〜4年の在留期間に国家試験に合格すれば本格的に日本で就労でき、そうでなければ帰国するのが条件だ。しかし、漢字や難解な専門用語が試験突破の壁になり、合格者は昨年がゼロで、今年は看護師3人のみ。

あっせん機関の国際厚生事業団によると、中途帰国したのは、今年度来日したばかりの118人を除く880人中、インドネシア15人(うち看護師12人)とフィリピン18人(同11人)の計33人。特に、合格率1.2%だった国家試験の合格発表後に当たる今年4月以降に中途帰国した看護師が計11人に上っていた

こうした問題を受け、厚生労働省は今月、看護師国家試験に使われる難解な専門用語について、平易な言葉への言い換えなど、何らかの見直し方法を有識者検討会で集中的に審議。来月初めにも提言にまとめ、来年行われる次回の国家試験に反映させる方針だ。

また、政府は6月に閣議決定した「新成長戦略」で、2011年度中に実施すべき事項として「看護師・介護福祉士試験の在り方の見直し(コミュニケーション能力、母国語・英語での試験実施等の検討を含む)」と明記、外国語による国家試験実施の可能性に言及している。

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開国漂流:追跡・外国人ケア人材問題/下 民間、現地で独自訓練(2010/07/10毎日新聞)

◇候補者「運任せ」に憤り
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)が始まって2年目の今年2月、比人の看護師・介護福祉士候補者受け入れを希望する全国の医療福祉施設に文書が届いた。 

日本の食文化を学ぶため、たこ焼きを作るフィリピン人介護士ら=トロピカル・パラダイス・ヴィレッジで、「『国際厚生事業団』以外に候補者のあっせんを依頼することはできません」。厚生労働省の外郭団体、同事業団からだった。政府は事業団にのみ病院・施設への候補者あっせんを認める。文書は民間あっせん業者の存在を指摘していた。

事実上、名指しされた業者の一つに「トロピカル・パラダイス・ヴィレッジ」グループがある。マニラ南方のスービック地区。熱帯特有の常緑樹の下、刈り込まれた芝生が広がる。米軍基地撤退後、ヴィレッジは空き家になった米将校住宅を改装し、05年から日本人向け退職者村を開く。

選抜した比人に無料で550時間の日本語研修を課し、居住する日本人の世話を通じ日本式介護技術や文化を教える。EPAの枠組みで日本へ送り出した看護師・介護福祉士候補者22人全員に訪日前、日本語検定試験3級以上を取得させた。

EPAの仕組みでは候補者の絞り込みは事実上、比側に任され、どんな人材が来るかは施設には「運任せ」。さらには国家試験に合格し、日本で長年働く人材が育つ可能性は低い。日本の医療・福祉現場ではメリットがないとの憤りがある。自前で比国内で訪日希望者の訓練を支援し、EPAの枠組みで受け入れる動きが出ている。

ヴィレッジは施設側からは1人当たりサポート料月2万円と、日本語の事前研修費10万円を受ける。これが事業団の怒りを買った。だが、高橋信行代表は「大赤字だが、官ができないことを民がやっている」と反論する。

「日比EPAでわれわれに恩恵があるかどうか検討する必要がある」。アキノ比大統領は7日、就任後初の記者会見で協定を一部見直す可能性に言及した。国内総生産の1割を海外出稼ぎ者からの送金に依存する比。上院議員時代に日比EPAの批准に反対票を投じた大統領の目には人数や資格などで現行制度は不平等に映る。

08年に比から看護師・介護士2万人以上が出国した。だが日比EPAに詳しいフィリピン大学のロレンゾ教授は「日本へ行くな、最後の選択肢と言っている。日本の現行制度は比人看護師・介護福祉士をプロと認めないからだ」と指摘。比医療労働者同盟のエマ議長も「それでも日本へ行く候補者の多くは『腰掛け』としか考えていない」と言う。

同じく日本とEPAを結ぶインドネシアも「出稼ぎ大国」だ。本国への送金は年間約60億ドル(約5400億円)に達する。こうした人材を急速に少子高齢化が進む東アジアが吸い込む。

お年寄りの車椅子を押したり、歩行を支えたりする外国人女性の姿は台湾では見慣れた景色だ。介護資格が必要ないため外国人介護従事者は増え続け、4月現在、外国人労働者全体の49%を占める。韓国では現在、「外国籍同胞」と呼ばれる中国などからの朝鮮族が一般家庭などで介護の仕事に就く例が多い。

少子高齢化の先頭を行く日本はEPAによる外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れを「特例的」としたまま漂い続ける。高齢社会の課題を研究する小川全夫・熊本学園大教授はEPAを「外国人と共に暮らす次世代の準備の第一歩。国内で各省庁の取り組みを収れんさせ、国としての姿勢を打ち出していくべきだ」と提言する。

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アジア人看護師に漢字試験の壁 来日激減、国益損なう恐れ(2010/07/13産経新聞)

インドネシアとフィリピンから来日した外国人看護師や介護福祉士候補者の来日者数が減っている。難解な漢字や専門用語、文章を用いた日本語の国家試験の壁が高いのが原因とみられ、中途帰国する候補者も増えている。医療や介護の現場からは、アジアでの日本人気がそがれるという懸念や、試験問題や滞在条件の緩和を求める声が上がっている。

■実務3年で受験1回のみ「漢字は読めれば良いはず」
斡旋(あっせん)機関の国際厚生事業団によると、平成20年以降、看護師や介護福祉士を目指して計998人の外国人が来日した。しかし、昨年初めて行われた看護師の試験の合格者ははゼロ。2回目の今年、ようやく3人が合格したが、合格率はわずか1.2%だった。

一方、介護福祉士は3年の実務経験が受験条件で、4年の滞在期間のうちチャンスは1回のみ。“1期生”は再来年、最初で最後の受験を迎えるが、介護福祉士試験も難関となることが予想されるという。

このような状況が影響し、今年度のフィリピンからの来日者は118人と昨年度の約3分の1に激減。外国人を受け入れる施設も大幅に少なくなり、昨年度のインドネシア人の入国者数は362人だったのに対し、今年度の求人は約140人にとどまっている。

この現状は、候補者にどのように映っているのか。
大阪府豊中市の高齢者福祉施設「豊寿荘」で、介護福祉士を目指して昨年11月から働くフィリピン人、グロリオサ・カタキス・トルデシラさん(34)は「漢字が最大の問題。フィリピン人には米国や欧州、中東など、働く国の選択肢がたくさんある。日本以外では試験に不合格になっても滞在し続けられる」と日本語で説明する。

グロリオサさんは簡単な会話は日本語でこなし、明るい笑顔で入所者、利用者の人気者だ。施設長の森賢二さんは「非常に勉強熱心。試験合格は正直難しいとは思うが、合格するための手は打っている」と話す。毎週金曜日に豊中市が主催する日本語教室に通い、水曜は施設内で自習。土曜日には施設が費用を負担し、大阪市内の民間の日本語学校へ通い、読解力の向上を図っている。

森さんは「うちは都市部にあり、日本語を学ぶインフラが整っているが、地方ほど教育は大変なのでは」と施設側の負担の大きさを課題に挙げる。

こうした問題を受け、政府は6月に閣議決定した新成長戦略の中で、試験を英語などで実施することも含め、看護師・介護福祉士試験のあり方を検討する方針を掲げた。

「合格のためには3年は短すぎる。英語で受験できればベストだが、漢字のふりがなや易しい表現を採用してほしい」とグロリオサさん。森さんも「漢字は書けなくとも読めたらよい。再来年の試験の合格率があまりに低かったら、誰も来日しなくなるのでは」と危ぶむ。

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看護師国試の用語見直し、「医療者共通の課題に」―日看協(2010/07/20医療介護CBニュース)

日本との経済連携協定(EPA)に基づいて来日している外国人看護師候補者をめぐり、現在、厚生労働省が見直しを検討している看護師国家試験の用語について、日本看護協会(久常節子会長)はこのほど、同省の医政局長あてに意見書を提出した。難解な専門用語を国民に分かりやすくする取り組みには賛同したものの、「看護師国家試験のみで検討するべきではなく、医療従事者共通の課題として検討すべき」としている。

意見書では、「日本語・漢字の理解は、医療安全のために最低限必要な能力」「看護師の使用する専門用語は医療従事者の共通言語」とする基本的な考え方を明記。

日本人の医療者とチームを組んで、日本人の患者の看護を行うためには、「日本語の理解は最低限必要な能力」と強調した上で、「佐藤」「加藤」などのように形や発音が似ている漢字があることに言及し、「部位を誤る、対象者を誤ることは重大な医療事故につながる」との懸念を示した。

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看護介護全国ニュース(BERITA PERAWATAN)2017年 1月〜11月号

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